飛行機が離着陸に最適な風向きは向かい風。それはなぜ
意外なことに、飛行機が離着陸をする際に最適な風向きは「
効率的に揚力を得られるから
- 「向かい風」が離着陸時のメリットになる理由は、
飛行機が飛ぶ仕組みにあります。飛行機は、 翼に風を受けて発生する「揚力」によって浮かんでいます。 主翼の上面と下面を流れる空気の圧力差によって生じる揚力は、「 向かい風」が強いほど増大するといいます。よって、離発着時 に「向かい風」が最適な理由は、「効率的に揚力を得られるから」 となります。ネガティブなイメージの「向かい風」ですが、 航空業界では隠れた功労者なのです。
- しかし、フライト中は、
向かい風よりも追い風を受けたときのほうがスピードは上がります 。大きく影響しているのは偏西風という風です。そのため、 同じ航路を往復する飛行機でも、 東から西に向かう便より西から東に向かうときのほうが、 目的地に早く着くのです。これは、 つねに上空に吹いている偏西風の影響を受けるためです。 - 偏西風とは、地球が自転していることによって発生している風で、
西から東へと強い力で吹きつけています。飛行機ばかりでなく、 海を航海する帆船もこの影響を強く受けています。 - ジェット・ストリームと呼ばれる偏西風の一種は、
対流圏上層または成層圏下層に見られます。 中心部では時速200~ 400キロメートルもの強い西風が吹いており、 その高度は1万メートル前後と、ちょうど旅客機の巡航高度です。 そのため飛行機の航路は、 できるだけ偏西風が追い風になるように設定されています。 それでも、希望する飛行高度にほかの飛行機が多かったりすると、 風の影響を受けやすい低い高度を飛ばなければならない場合もあり ます。 とくに冬には季節風の影響も加わり、 さらに強い風になることがあります。
- 例えば、かつて、アメリカから成田に向かった飛行機が、
向かい風のために時間がかかりすぎて燃料不足になり、急遽、 新千歳空港に着陸して燃料補給するというケースがあったことも。 偏西風が吹くのは、つねに西から東。そのため、成田~ メルボルン間のような南北を結ぶ路線には影響がなく、 往路も復路も速度はほとんど同じです。
例えば
- 目的地まで102マイル
- 時速150ktsで30KTの向かい風を受けていている時の時間
は? - 150-30=120KT
- 102÷120=0.85
- 0.85×60=51 min
- 51分
- 目的地まで102マイル
- 時速150ktsで30KTの追い風を受けていている時の時間は
?
- 150+30=180KT
- 102÷180=0.56
- 0.56×60=34 min
- 34分
目的地までの距離と時速が同じでも、風向きだけで到着が17分も変わってきます。
先日は、私の住んでいるビクトリア州で大雨が降り、約50年ぶりの降水量を記録している地域もあり、自然の力にはいつも圧倒されます。
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